注意: 本記事はドキュメント・公開情報をもとにした評価記事です。コード例はシミュレーションです。
3行要約
- ブラウザ内に閉じず、デスクトップ上のあらゆるアプリをAIが直接操作してワークフローを完遂させるツール
- 従来のRPAのような「座標指定」や「個別スクリプト」が不要で、自然言語の指示だけでGUI操作を代替する
- 複雑な環境構築を避けたいエンジニアや、API未提供のレガシーソフトを自動化したい実務家に向いている
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結論から: このツールは「買い」か
結論から言うと、APIが提供されていないレガシーな業務アプリや、複数のデスクトップアプリを跨ぐ「泥臭い作業」を抱えている人にとっては、今すぐ試すべき「買い」のツールです。★評価は4.5。
私はこれまで、PythonのPyAutoGUIやSeleniumを駆使して多くの自動化案件をこなしてきました。しかし、それらは「ボタンの画像が変わった」「広告ポップアップが出た」だけで簡単に壊れる、メンテナンス性の低いものでした。My Computer by Manus AIは、そうした「画面の変化」をAIがリアルタイムで解釈し、文脈に基づいて操作を継続します。
ただし、プライバシーに敏感な情報を扱う人や、1ミリ秒を争うレスポンスを求める人には向きません。クラウド経由で画面情報を解析する性質上、どうしても1アクションあたり数秒の待機時間が発生するからです。
このツールが解決する問題
これまでの自動化には、大きく分けて2つの壁がありました。1つは「APIの不在」、もう1つは「GUIの動的変化」です。
SIer時代、私は顧客から「古いWindows専用の在庫管理ソフトからデータを抜き出し、特定のSaaSへ転記してほしい」という依頼を何度も受けました。そのソフトにはAPIがなく、スクレイピングも不可能です。結局、人間が手でコピペするか、不安定なRPAを組むしかありませんでした。RPAは、Windowsのアップデートでフォントが変わっただけで動作が止まる「職人芸」の世界です。
My Computer by Manus AIは、この問題を「視覚的な理解(Computer Use)」で解決します。AIが現在のデスクトップ画面をキャプチャし、人間と同じように「どこに何があるか」を認識して、マウスとキーボードを動かします。
さらに、既存のAIエージェントがブラウザ(Chrome等)の中に閉じこもっていたのに対し、このツールは「Manus Desktop」というレイヤーを通じてOSそのものを操作対象にします。Excelを開き、Slackで誰かに進捗を送り、Zoomの会議URLをカレンダーから取得して参加する、といったアプリを跨ぐフローを1つのプロンプトで完結できるのが、最大のブレイクスルーです。
実際の使い方
インストール
My Computer(Manus Desktop)の利用には、公式サイトからクライアントをダウンロードし、Python SDK経由またはGUIから操作する形になります。
# SDKをインストールする場合
pip install manus-sdk
前提条件として、macOSまたはWindowsのアクセシビリティ許可が必要です。画面操作をAIに委ねるため、OSレベルの権限を要求されます。また、現時点ではPython 3.9以降が推奨されています。
基本的な使用例
Manusの強みは、開発者が「どう操作するか」を書くのではなく、「何を達成するか」を書くだけで良い点にあります。
from manus import ManusAgent
# エージェントの初期化
# 環境変数 MANUS_API_KEY にキーを設定しておく
agent = ManusAgent()
# タスクの実行
# 自然言語でデスクトップ上の操作を指示する
task = "デスクトップにある'請求書'フォルダ内のPDFをすべて開き、合計金額をExcelにまとめて保存して"
result = agent.execute_desktop_task(
instruction=task,
max_steps=20, # 予期せぬループを防ぐための上限
allow_network=True # 必要に応じてブラウザ操作を許可
)
if result.status == "completed":
print(f"成功しました: {result.summary}")
else:
print(f"失敗: {result.error_message}")
このコードの肝は、execute_desktop_taskメソッドです。内部的には、AIが現在のスクリーンショットを撮影し、マウスの移動、クリック、タイピングという低レベルなアクションへ分解して実行しています。開発者は、ファイルパスの取得やウィンドウのフォーカス制御といった面倒な処理を書く必要がありません。
応用: 実務で使うなら
実際の業務では、単純な指示だけでなく、条件分岐を含めた複雑なワークフローを組むことになります。例えば、カスタマーサポートの自動化です。
# 特定の条件に応じたワークフロー
def handle_customer_request(customer_name):
instruction = f"""
1. ブラウザで社内管理システムを開く
2. '{customer_name}'を検索し、最新の注文状況を確認
3. 配送遅延が発生していれば、デスクトップのOutlookを起動
4. テンプレートに従って謝罪メールを作成し、下書き保存して
"""
# 実行ログを詳細に取得
steps = agent.run_detailed(instruction)
for step in steps:
# AIが「今何をしているか」をログ出力
print(f"Action: {step.action_type} | Reasoning: {step.reasoning}")
handle_customer_request("田中太郎")
実務でのカスタマイズポイントは、reasoning(思考プロセス)の取得です。AIがなぜそのボタンをクリックしたのかというログを残せるため、後からデバッグや監査が可能です。RTX 4090を回してローカルで試行錯誤するのとは違い、クラウド側の高性能な推論能力をデスクトップ操作に流用できるのが強みです。
強みと弱み
強み:
- ノーコードに近い自動化: 座標(x, y)を指定するコードを書く必要が一切なく、ボタンの名前や意味で操作できる。
- マルチアプリ連携: ブラウザ、Excel、独自アプリ、ターミナルをシームレスに行き来できる。
- エラー復帰: ポップアップなどの障害物が出ても、AIが「閉じる」ボタンを探して自力で解決を試みる。
弱み:
- レイテンシ: 1アクションごとに画面送信と推論が発生するため、人間が操作するより3〜5倍は時間がかかる。
- セキュリティの懸念: 画面のキャプチャをクラウドに送信するため、機密情報を扱う際はエンタープライズ向けの規約確認が必須。
- 日本語入力の不安定さ: 環境によっては、クリップボード経由でないと日本語の入力が化けるケースがある。
代替ツールとの比較
| 項目 | My Computer by Manus AI | Anthropic Computer Use | Open Interpreter |
|---|---|---|---|
| 実行環境 | 専用デスクトップアプリ | API経由(Docker等が必要) | ローカル(ターミナル) |
| 手軽さ | 非常に高い(GUIあり) | 低い(開発者向け) | 中(Python環境が必要) |
| 得意分野 | 一般的な事務作業の自動化 | 開発・検証用 | ローカルファイルの直接操作 |
| コスト | 月額サブスクリプション | トークン課金(高め) | 基本無料(モデル代のみ) |
AnthropicのComputer Useは非常に強力ですが、環境構築のハードルが高く、コンテナ内での操作に限定されがちです。一方でOpen InterpreterはOS操作に強いものの、GUI操作(マウスのドラッグ等)の精度はManus AIの方が一段上に感じます。
私の評価
私はこのツールを、特定の「泥臭い業務」に特化して導入すべきだと評価します。★評価は4.0。万人におすすめはしませんが、毎日同じようなコピペ作業に1時間以上費やしているエンジニアや事務担当者にとっては、月額$20〜30を払う価値は十分にあります。
特に、APIがないがゆえに自動化を諦めていた社内システムがある場合、このツールは唯一の解決策になります。私は自宅のRTX 4090サーバーでローカルLLMを動かすのが趣味ですが、それでも「OS操作」という複雑なタスクに関しては、My Computerのようなクラウド統合型のエージェントの方が安定感があることを認めざるを得ません。
一方で、100件のデータを一瞬で処理するようなバッチ処理には向きません。あくまで「人間が行うGUI操作を代行する」ツールであることを理解して使うのが、失敗しないコツです。
よくある質問
Q1: 操作中にマウスやキーボードを自分で動かしても大丈夫ですか?
推奨されません。AIが操作を行っている最中に割り込むと、座標の誤認識や二重クリックが発生し、タスクが失敗する原因になります。自動化実行中は、専用の仮想デスクトップを用意するか、PCを触らないようにするのが基本です。
Q2: 月額料金以外のコスト(API使用料など)は発生しますか?
My Computer by Manus AIは定額プランを採用しているため、指定の回数内であれば個別のトークン課金を気にせず使えます。ただし、SDK経由で大量のリクエストを送る場合は、上位プランへのアップグレードが必要になることがあります。
Q3: 日本語のUIのアプリでも認識しますか?
はい、認識可能です。マルチモーダルLLMをベースにしているため、ボタンに書かれた「送信」や「保存」といった日本語も理解します。ただし、フォントが極端に特殊な古いアプリでは、認識精度が落ちる可能性があるため、事前のテストをおすすめします。
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