注意: 本記事はドキュメント・公開情報をもとにした評価記事です。コード例はシミュレーションです。
3行要約
- 既存の全ソフトウェアに「AIエージェント用のCLIインターフェース」を後付けし、操作を自動化する。
- 独自の「CLI-Hub」を介して、GUIアプリやAPIのないツールをエージェントが理解可能な形式に変換する点が他と違う。
- エージェントによる業務自動化を自作したい開発者は必携。単にChatGPTと会話したいだけの人には不要。
📦 この記事に関連する商品(楽天メインで価格確認)
GeForce RTX 4090ローカルLLMでエージェントを高速駆動させるための最強GPU
※アフィリエイトリンクを含みます
結論から: このツールは「買い」か
結論から言うと、エージェント開発を一段上のフェーズへ進めたいエンジニアにとって、CLI-Anythingは間違いなく「導入すべき」ツールです。★評価は 4.5/5。
これまでのAIエージェントは、ブラウザ操作(browser-useなど)か、プログラムの読み書き(Aider, Claude Codeなど)に特化していました。しかし、実務では「特定のデスクトップアプリ」や「独自の社内ツール」を操作する必要があります。
CLI-Anythingは、これら「非AIネイティブ」なソフトをエージェントが叩けるCLIコマンドとして抽象化します。現在はまだ開発初期の熱量が高いフェーズですが、GitHub Trendingで1日1,000スター以上を獲得した背景には、エージェントの「手足」不足を解消する決定打になるという期待があります。
このツールが解決する問題
従来、AIエージェントに特定のソフトウェアを操作させるには、2つの高い壁がありました。1つは、APIが公開されていないソフトウェアの操作。もう1つは、APIがあってもエージェントがその仕様を理解するために膨大なトークンを消費し、挙動が不安定になることです。
特にGUIベースの古いツールや、複雑なフラグを持つCLIツールは、LLMにとって「扱いづらい道具」でした。無理に操作させようとすると、存在しない引数(ハルシネーション)を生成してエラーになるのが関の山です。
CLI-Anythingは、ソフトウェアとエージェントの間に「CLI-Hub」という抽象化レイヤーを挟むことでこの問題を解決します。開発者はそのソフトの「正しい叩き方」を一度定義してしまえば、あとはエージェントが自然言語でその機能を呼び出せるようになります。
これにより、これまで人間が手動でポチポチ操作していた「ソフトウェア間のデータ移動」や「設定変更」を、AIが正確なコマンドライン操作として代行できるようになるわけです。
実際の使い方
インストール
Python 3.10以降が推奨環境です。GitHubからリポジトリをクローンしてセットアップします。
git clone https://github.com/HKUDS/CLI-Anything.git
cd CLI-Anything
pip install -e .
依存関係には、エージェントの推論エンジンとなるLLMライブラリや、各プラットフォーム向けのオートメーションツールが含まれます。私の環境(Ubuntu 22.04 / RTX 4090)では、インストール完了まで約2分でした。
基本的な使用例
CLI-Anythingを使って、エージェントに「システムの音量を50%にして、Chromeで特定のサイトを開く」という複合操作をさせる例を考えます。
from cli_anything import CLIAgent
# エージェントの初期化(デフォルトでCLI-Hubの設定を読み込む)
agent = CLIAgent(model="gpt-4o")
# 自然言語で指示を出す
# CLI-Anythingが内部で「system_volume --set 50」や「google-chrome --open URL」に変換
instruction = "システム音量を50に設定して、GitHubのトレンドページを開いて"
result = agent.execute(instruction)
print(f"実行結果: {result['status']}")
内部では、cli-hubに登録された各ツールの定義ファイル(YAML形式が多い)を参照し、エージェントが実行可能なコマンドライン引数を組み立てています。これにより、モデルが直接コマンドを「捏造」するリスクを大幅に減らしています。
応用: 実務で使うなら
実務で最も価値を発揮するのは、APIがない独自ツールの「エージェント・フロントエンド化」です。例えば、社内の古い資産管理ツール(CLI版)をAIエージェントに操作させるシナリオです。
# 独自ツールの定義をCLI-Anythingに認識させる(イメージ)
# config/my_tool.yaml
# name: asset_manager
# commands:
# - name: search
# args: [--id, --user]
response = agent.execute("資産ID 12345 の所有者を調べて、メモ帳に書き出して")
このように、自作ツールのスキーマをCLI-Anythingの形式に流し込むだけで、どんなツールも「AIフレンドリー」な道具に生まれ変わります。これは既存のRAG(検索拡張生成)の先にある「Action-Oriented(行動指向)」なシステム構築において極めて強力な武器になります。
強みと弱み
強み:
- 抽象化の精度が高い: CLI-Hubという中央リポジトリがあるため、自前でプロンプトをこねくり回す必要がない。
- モデルを選ばない: GPT-4だけでなく、Claude 3.5 SonnetやローカルのLlama 3など、Tool Useに対応したモデルなら柔軟に切り替え可能。
- 拡張性: 新しいソフトへの対応がYAML定義ファイルを書くだけで済むため、エンジニア1人で数時間あれば「AI操作可能なアプリ」を増やせる。
弱み:
- 日本語情報の欠如: ドキュメントはすべて英語であり、日本語特有のパス名や入力に対する挙動は検証が必要です。
- セキュリティリスク: エージェントにCLI実行権限を与えるため、不用意な
rm -rf /などを防ぐためのサンドボックス環境が必須。 - セットアップの重さ: 各種OSコマンドに依存するため、Windows/Mac/Linuxで挙動を共通化するのがやや面倒な印象です。
代替ツールとの比較
| 項目 | HKUDS/CLI-Anything | Claude Code | Aider |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | あらゆるソフトの操作 | 開発・コーディング | コーディング支援 |
| 汎用性 | 非常に高い(GUIアプリも可) | 高い(ターミナル内) | 中(git/コード操作中心) |
| 導入難易度 | 中(定義ファイルの理解が必要) | 低(npm installのみ) | 低(pip installのみ) |
| 特徴 | CLI-Hubによる知識共有 | Anthropic純正の爆速感 | ペアプロに特化したUI |
特定の開発作業だけなら「Claude Code」の方が洗練されていますが、「ブラウザ、Excel、独自ツールを組み合わせて自動化したい」ならCLI-Anything一択です。
料金・必要スペック・導入前の注意点
CLI-Anything自体はオープンソース(MITライセンス等、詳細はリポジトリ参照)であり、無料で利用可能です。ただし、以下のコストとスペックを考慮する必要があります。
- LLMのAPI費用: 複雑な指示をCLIコマンドに変換するため、1リクエストあたり数円〜数十円のGPT-4o/Claude 3.5利用料がかかります。
- ハードウェア: ローカルLLMで動かす場合は、VRAM 16GB以上のGPUが推奨です。私は「RTX 4090 24GB」を2枚挿しして検証していますが、1枚でもLlama 3 8Bクラスならレスポンス0.5秒程度で快適に動きます。Macユーザーなら、メモリ32GB以上の「Mac Studio」や「MacBook Pro M3 Max」があると、エージェントの思考速度が劇的に向上します。
- セキュリティ: 実行環境はDockerなどのコンテナ内に閉じ込めることを強く推奨します。
私の評価
評価: ★★★★☆ (4.5)
正直に言って、現時点では「誰にでもおすすめ」できるツールではありません。しかし、エージェントに「ブラウザの外」を自由自在に歩き回らせたいと考えているエンジニアにとって、これほど興奮するツールは他にありません。
既存のツールを一切書き換えることなく、外側からCLIという皮を被せるだけで「エージェント・ネイティブ」に変えてしまう思想は非常に合理的です。API公開を待つのではなく、自分たちで操作口(CLI)を作ってしまおうという力技が、今のAI開発のスピード感には合っています。
日常のルーチンワークを「自分専用のエージェント」に任せたいなら、まずは自分のよく使うコマンドをCLI-Hubの形式で登録してみることから始めるのが、最も賢い導入方法だと思います。
よくある質問
Q1: プログラミングの知識は必須ですか?
必須です。特にPythonの基礎知識と、YAMLによる設定ファイルの記述、ターミナル操作に慣れている必要があります。自動化したいツールのCLI仕様を理解している中級者以上のエンジニア向けです。
Q2: 商用利用は可能ですか?
GitHubリポジトリのライセンスに従いますが、ツール自体はOSSです。ただし、バックエンドで利用するLLM(OpenAIなど)の利用規約や、操作対象となるソフトウェアの規約には別途注意を払う必要があります。
Q3: browser-useとの使い分けは?
Webサイト上の操作がメインならbrowser-useが適しています。一方で、ローカルのファイル操作、OS設定の変更、デスクトップアプリの起動、独自コマンドの実行などが混じる場合は、CLI-Anythingの方が設計として筋が良いです。






