所要時間: 約30分 | 難易度: ★★☆☆☆

この記事で作るもの

FastAPIとPytestを使ったタスク管理APIを、設計・コーディング・テスト・GitコミットまでAI主体で完結させる開発ワークフローを構築します。 Pythonの基本的な読み書きができる方を対象に、Cursorで「全体設計」を行い、Claude Codeに「泥臭い実装とデバッグ」を丸投げする具体的な手順を解説します。 必要なものは、AnthropicのAPIキーと、VS CodeベースのIDE「Cursor」だけです。

先に確認するスペック・料金

AIコーディングを本気で実務に投入するなら、まずコストの考え方を切り替える必要があります。 CursorのProプラン(月額$20)は必須と言えますが、これに加えてClaude Codeを動かすための「Anthropic API」の従量課金が必要です。 Claude CodeはCLI上で自律的に動くため、1回のタスクで数十円から、複雑なデバッグだと数百円のAPI代がかかることも珍しくありません。

ハードウェアについては、ローカルLLMを動かすわけではないため、M1チップ以降のMacBookや、一般的なWindows機で十分動作します。 ただし、Claude Codeはnpm(Node.js)環境が必要なため、Pythonエンジニアの方もNode.jsのインストールは避けて通れません。 私はRTX 4090を2枚挿した自作機を使っていますが、API経由のコーディングに関しては、マシンスペックよりも「ネットワークの安定性」の方が開発体験に直結します。

なぜこの方法を選ぶのか

Cursorだけでも十分にコードは書けますが、Cursorは「人間がチャットで指示して、人間が差分を確認して適用する」という半自動のプロセスから抜け出せません。 一方で、AnthropicがリリースしたClaude Codeは、ターミナルの操作権限を持ち、自らテストを実行し、エラーが出たら勝手に修正して、最後にgit commitまで行う「エージェント」です。 「大きな設計は視認性の高いCursorで行い、細かい関数の実装やテストコードの作成、ビルドエラーの解消はClaude Codeに丸投げする」のが、現時点で最も生産性が高い組み合わせです。

Step 1: 環境を整える

まずは、Claude Codeを使える状態にします。 Claude CodeはNode.jsで動くツールなので、まずはnpmが使えるか確認してください。

# Node.jsのバージョン確認。v18以上が必要です。
node -v

# Claude Codeのインストール
npm install -g @anthropic-ai/claude-code

# インストールが完了したら、Anthropicのアカウントと連携します
claude auth login

claude auth loginを実行するとブラウザが開くので、認証を許可してください。 これで、ターミナルからclaudeコマンドを叩くだけでAIエージェントが起動するようになります。 次に、エディタとしてCursorをインストールし、プロジェクト用のフォルダを作成しておきましょう。

⚠️ 落とし穴: Claude Codeをインストールする際、macOSやLinux環境ではsudoが必要になる場合があります。 また、APIの残高が足りないと「Credit balance too low」というエラーで動かなくなるので、事前にAnthropicのコンソールで$5〜$10ほどチャージしておきましょう。

Step 2: 基本の設定

今回はFastAPIを使用します。 プロジェクトのルートディレクトリに、まずAIへの「指示書」となるファイルを作成します。 私はいつもdocs/spec.mdというファイルを作り、ここに要件を詰め込みます。

# タスク管理API 仕様書

## 技術スタック
- Python 3.11+
- FastAPI
- Pydantic v2
- SQLAlchemy (SQLite)
- Pytest

## エンドポイント
- POST /tasks : タスク作成
- GET /tasks : タスク一覧取得
- PUT /tasks/{id} : タスク完了フラグの更新

なぜ最初にファイルを作るのかというと、Cursorの「Composer(Cmd+I)」機能にこのファイルを読み込ませることで、コンテキストのズレを防ぐためです。 口頭(チャット)で指示を出し続けると、AIは以前の指示を忘れますが、ファイルに書き出しておけばそれが「唯一の真実」になります。

次に、Pythonの仮想環境を作成して有効化します。

python -m venv .venv
source .venv/bin/activate  # Windowsの場合は .venv\Scripts\activate
pip install fastapi uvicorn sqlalchemy pytest httpx

Step 3: 動かしてみる

いよいよ実装です。 ここではCursorを使わず、あえてターミナルからClaude Codeを起動して、先ほどの仕様書を元にコードを生成させます。

# プロジェクトのルートで起動
claude

Claude Codeが起動したら、以下のようにプロンプトを打ち込みます。

docs/spec.md を読んで、必要なディレクトリ構造を作成し、APIの実装を完了させてください。
仮想環境は作成済みなので、ライブラリの追加インストールが必要な場合は教えてください。
実装が終わったら、サーバーを起動して動作確認まで行ってください。

期待される出力

Claude Codeは、以下のようなステップを勝手に進めます。

  1. main.pymodels.py などのファイルを作成する
  2. 内部で ls コマンドを使ってファイル構成を確認する
  3. uvicorn main:app --reload をバックグラウンドで実行し、curl でエンドポイントを叩く
  4. エラーが出たらソースコードを修正する

これが、Cursorにはできない「自律的な動作」です。 私はこの間、コーヒーを飲んで画面を眺めているだけで、勝手にファイルが生成されていきます。

Step 4: 実用レベルにする

コードが書けたら、次に最も面倒な「ユニットテスト」をClaude Codeに書かせます。 ここがClaude Codeの真骨頂です。

作成したAPIに対するユニットテストを pytest で書いてください。
tests/ ディレクトリを作成し、テストケースを網羅してください。
テストが全てパスすることを確認するまでがタスクです。

Claude Codeは、自分で pytest コマンドを実行します。 もしテストが落ちたら、実装コードのバグなのかテストコードのミスなのかを自分で判断し、修正して再実行します。 この「ループ」をAIが勝手に回してくれるのが、実務においてどれほどの工数削減になるかは、一度体験すると戻れないほどです。

最後に、Cursorを開いて全体を確認します。 Cursorの画面上で、Claude Codeが書いたコードの可視性をチェックし、気になる部分があれば Cursorの「Chat(Cmd+L)」で質問します。 「この実装、もう少しDRY(Don’t Repeat Yourself)にできない?」といった抽象的な相談は、CursorのGUI上で行うのがスムーズです。

納得がいったら、再びターミナルのClaude Codeに戻り、コミットを依頼します。

ここまでの変更内容を要約して、適切なコミットメッセージと共に git commit してください。

Claude Codeは git add . を行い、変更内容を分析して、人間が書くよりも丁寧なコミットメッセージを作成して実行してくれます。

よくあるトラブルと解決法

エラー内容原因解決策
Claude Codeがファイルを書き換えない権限不足またはパスの誤解ls -R を実行させてディレクトリ構造を再認識させる
APIのレスポンスが遅いコンテキストが肥大化しているclaude を一度終了して再起動し、履歴をリセットする
Pytestがモジュールを認識しないPYTHONPATH の設定漏れexport PYTHONPATH=$PYTHONPATH:. を実行するよう指示する

次のステップ

このワークフローをマスターしたら、次は「既存の巨大なレガシーコードの修正」に挑戦してみてください。 Cursorで修正したい箇所のアウトラインを掴み、Claude Codeに「この関数をリファクタリングして、壊れていないことをテストで証明しろ」と指示を出すのです。 手動でコードを書き換える時間は激減し、あなたは「AIへの指示の解像度を上げる」という、より本質的な設計業務に集中できるようになります。

また、Claude Codeのコストを抑えたい場合は、.claudignore ファイルを適切に設定し、不要な node_modules やビルド成果物をAIに読み込ませないように工夫することが重要です。 「何を見せて、何を任せるか」というディレクション能力が、これからのエンジニアの腕の見せ所になります。

よくある質問

Q1: CursorとClaude Code、どちらか一方で良くないですか?

結論、併用がベストです。Cursorは「コードの差分を視覚的に確認する」のに適しており、Claude Codeは「テスト実行やCLI操作を伴う自律的な作業」に向いています。両方使うことで、確認の漏れを防ぎつつ、実行を自動化できます。

Q2: API代が怖いです。上限設定はできますか?

Anthropicのコンソールで「Usage limits」を設定できます。月間の予算を決めておけば、それ以上課金されることはありません。まずは$10程度のプリペイドで試すのが、精神衛生上も良いと思います。

Q3: 会社のプロプライエタリなコードを読み込ませても大丈夫?

AnthropicのAPI(Claude Codeが使用するもの)は、デフォルトで入力データが学習に使われないポリシーになっています。ただし、会社のセキュリティポリシーは個別に確認してください。不安な場合は、特定のフォルダだけを読み込ませる設定を徹底しましょう。

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