3行要約
- Uber Eatsがテキストや画像から商品を特定し、自動でカートを作成する「Cart Assistant」を発表。
- マルチモーダルAIを活用し、献立の相談から在庫確認、代用品の提案までを一気通貫で実行。
- 単なる検索から「意図の理解」へとシフトし、クイックコマースの覇権争いは新フェーズへ。
何が発表されたのか
みなさん、こんにちは。AI専門ブロガーのねぎです。毎日恐ろしいスピードでAIニュースが飛び込んできますが、今回は私たちの「日常の風景」をガラリと変えてしまいそうな、非常にワクワクするニュースをお届けします。
デリバリー大手のUber Eats(ウーバーイーツ)が、最新のAI機能を搭載した「Cart Assistant(カートアシスタント)」を正式に発表しました。これがただの検索機能のアップデートだと思ったら大間違いです。今回発表されたこのアシスタントは、私たちが普段スーパーで行っている「何を買おうか迷う」「リストを作る」「棚を探す」という一連の認知的負荷を、AIが丸ごと肩代わりしてくれるというものなんです。
具体的に何ができるようになるのか。まず、もっとも直感的なのが「テキストプロンプトによるカート作成」です。例えば「今週末、友人5人と家でタコスパーティーをしたいんだけど、必要なものを全部揃えて」と入力するだけで、AIがタコスの皮、ひき肉、レタス、チーズ、サルサソース、さらには飲み物や紙コップまでを推論し、提携している近隣のスーパーの在庫状況を確認した上で、最適な商品をカートに放り込んでくれます。
さらに驚くべきは「画像ベース」の機能です。冷蔵庫の中身をパシャリと撮影してアップロードすれば、AIが現在の在庫を認識し、「牛乳が切れそうですね」「卵が残り1個です」といった判断を下した上で、不足分を自動でリストアップしてくれます。あるいは、SNSで見かけた美味しそうな料理のスクリーンショットを投げるだけで、そのレシピに必要な食材を特定し、カートを準備してくれる。まさに、SF映画で見ていたような未来の買い物が実現しようとしています。
この発表の背景には、Uber Eatsが単なる「食事の配送」から「食のインフラ」へと進化しようとする強い意志が感じられます。これまでは欲しい商品を一つずつ検索して選ぶのが当たり前でしたが、その「選ぶ手間」すらもAIが解決する。Uberはこの機能を2026年以降、順次グローバルに展開していく計画とのことです。
技術的なポイント
さて、元SIerエンジニアとしての視点から、この「カートアシスタント」を支える技術的な仕組みを少し深掘りしてみましょう。この機能の核となっているのは、おそらく高度な「マルチモーダルLLM(大規模言語モデル)」と、Uberが持つ膨大な「リアルタイム在庫データベース」の統合です。
まず、マルチモーダル性についてです。従来の検索エンジンは「トマト」という単語に対して「トマト」という商品を返すだけでした。しかし、今回のAIアシスタントは画像とテキストの両方を理解します。画像から物体を検出し、その状態(例えば「賞味期限が近そう」や「量が少ない」)を推論するには、Vision Transformerのような高度な画像認識モデルと、言語モデルが密接に連携している必要があります。
次に重要なのが「コンテキスト(文脈)の理解」です。「ヘルシーな夕食を作りたい」という曖昧なリクエストに対し、ユーザーの過去の注文履歴や、現在地付近のスーパーで手に入る新鮮な食材、さらには現在の季節感までを加味して提案を行う。これには、単なるキーワードマッチングではなく、ナレッジグラフを用いた高度な推論エンジンが動いているはずです。
そして、技術的に最も難易度が高いのが「リアルタイムの在庫APIとの同期」でしょう。AIがどれだけ素晴らしい献立を提案しても、注文しようとした瞬間に「在庫切れ」では意味がありません。Uberは数千、数万という店舗の在庫データをミリ秒単位で処理し、AIの回答に反映させる必要があります。ここには、RAG(検索拡張生成)の技術が応用されており、LLMが持つ汎用的な知識(レシピなど)と、Uberが持つ動的な外部データ(店舗の在庫や価格)をリアルタイムでガッチャンコさせているわけですね。
また、個人的に注目しているのは「代用品の推論ロジック」です。もし特定のブランドの牛乳がなければ、脂肪分や価格帯、ユーザーの過去の好みを分析し、最も納得感のある代替案を提示する。この「納得感のある提案」こそが、AIの性能を左右する最も泥臭く、かつ高度な技術領域だと言えます。
競合との比較
今回のUber Eatsの発表を、汎用AIであるChatGPTやClaudeと比較してみましょう。
| 項目 | 今回の発表(Uber Eats) | ChatGPT (OpenAI) | Claude (Anthropic) |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 購買行動の完結 | 情報提供・創作支援 | 文章作成・論理分析 |
| 在庫データ連携 | リアルタイムで直結 | Web検索経由(限定的) | 基本的に非対応 |
| 購入アクション | アプリ内で即決済可能 | 外部プラグインが必要 | 不可 |
| 提案の具体性 | 特定店舗の商品を提案 | 一般的な食材を提案 | 一般的なレシピを提案 |
| マルチモーダル | 画像から不足品を特定 | 画像認識は可能 | 画像認識は可能 |
この比較からわかる通り、ChatGPTやClaudeは「何を買うべきか」というアドバイスをくれるアドバイザーとしては優秀ですが、実際に「どこの店のどの商品を、いくらで買うか」というアクションまでを完結させることはできません。
例えば、ChatGPTに「カレーの材料を教えて」と聞けば、完璧なレシピを教えてくれます。しかし、そこから「近所のイトーヨーカドーで、今一番安い玉ねぎを3個カートに入れて」と頼むことは、今のところ難しい(あるいは複数のステップが必要)です。
Uber Eatsの強みは、この「ラストワンマイルの実行力」にあります。AIが考えた結果が、そのまま物理的な配送というアクションに直結している点。これが、汎用AIには真似できない、プラットフォーマーとしての圧倒的な優位性ですね。
業界への影響
この発表が業界に与える影響は、短期的にも長期的にも計り知れません。論理的に分析すると、主に3つの大きな変化が予想されます。
第一に「検索行動の消滅」です。これまでのECサイトやデリバリーアプリのUIは、検索窓に文字を打ち込み、出てきたリストから自分で比較検討するというものでした。しかし、AIアシスタントが普及すれば、ユーザーは「考えること」をやめ、AIが提示した「推奨セット」をそのまま受け入れるようになります。これはUI/UXの歴史におけるパラダイムシフトであり、従来のSEO(検索エンジン最適化)ならぬ「AIO(AI最適化)」の重要性が高まることを意味します。
第二に「広告ビジネスモデルの変容」です。現在のUber Eatsなどのプラットフォームは、検索結果の上位に表示させる「スポンサー枠」で収益を上げています。しかし、AIが「最適なカート」を作るようになると、広告主は「AIに選ばれるためのデータ提供」に必死になるでしょう。例えば、AIが献立を考える際に「特定のブランドの調味料を優先的に組み込ませる」といった、よりネイティブで巧妙な広告手法が登場するはずです。
第三に「小売業界の勢力図の変化」です。在庫データをリアルタイムで、かつAIが読み取りやすい形で提供できる店舗だけが、AI時代に取り残されずに済みます。デジタル化が遅れている中小の小売店は、AIの「提案の選択肢」から外れてしまうリスクがあります。これは、プラットフォームによる小売店の選別を加速させる可能性がありますね。
長期的に見れば、この技術は「自動補充(Auto-Replenishment)」へと進化するでしょう。私たちが指示を出すまでもなく、AIが冷蔵庫を監視し、最適なタイミングで最適な量を注文し、玄関まで届く。そんな「買い物を意識しない生活」の基盤が、今回の発表によって整い始めたと感じます。
私の見解
ここからは、私「ねぎ」の率直な感想をお話しさせてください。
正直なところ、元エンジニアの視点で見ると「ついにここまで来たか……」という、期待と少しの恐ろしさが入り混じった気持ちです。かつてSIerでシステムを組んでいた頃は、ユーザーの要望を「if文」の塊でガチガチに制御しようとしていましたが、今やAIが曖昧な「タコスパーティー」という言葉から、勝手にコンテキストを読み取ってシステムを動かしてしまう。この柔軟性は、従来のプログラミングでは絶対に到達できなかった領域です。
個人的には、この機能は「家事の民主化」に大きく貢献すると思っています。献立を考えるというのは、実はものすごく高い知的リソースを消費する作業ですよね。いわゆる「名もなき家事」の最たるものです。それをAIにアウトソーシングできるというのは、忙しい現代人にとって、単なる時短以上の価値——「心の余裕」を生むのではないでしょうか。
ただ、一方で懸念もあります。それは「偶然の出会い」が減ってしまうのではないか、という点です。スーパーの棚を歩いていて、「お、今日はこれが安いな」「この新商品、面白そう」と手に取るあのワクワク感。AIが作る「最適化されたカート」には、そうした無駄や遊びが入り込む余地が少なくなってしまうかもしれません。
とはいえ、技術の進歩は止まりません。私はこの機能を実装された瞬間に試すつもりです。特に、写真から在庫を当てる機能は、私のズボラな性格を救ってくれる救世主になると確信しています(笑)。みなさんも、AIが自分の専属コンシェルジュになる未来を、ぜひ今のうちからイメージしておいてください。これは単なる便利機能ではなく、私たちの「生活スタイル」そのもののアップデートなのですから。
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