注意: 本記事の検証パートはシミュレーションです。実際の測定結果ではありません。
3行要約
- AIがテキストで答えるのではなく、その場で最適な「操作画面(UI)」を生成して回答するツール。
- ユーザーは文字を読む手間を省き、グラフやボタン、フォームを通じて直感的にAIとやり取りできる。
- 開発者はSDKを通じて、既存のアプリケーションに「生成UI」を持つ高度なエージェントを組み込める。
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このツールは何か
みなさん、こんにちは。AI専門ブロガーのねぎです。毎日新しいAIツールが発表されていますが、今回紹介する「Agent Builder by Thesys」は、個人的に「ついにこれが来たか」と唸らされたプロダクトです。
一言で言えば、このツールは「AIエージェントにUI(ユーザーインターフェース)を持たせるためのプラットフォーム」です。
これまでのAIチャットを思い出してみてください。何かを質問すると、AIは長文のテキストや、せいぜいMarkdown形式の表で回答を返してくれましたよね。でも、正直なところ「そのデータをグラフで見たいんだよな」とか「その設定を変更するためのスイッチが今すぐ欲しい」と思ったことはありませんか?
Thesysが提供する「Agent Builder」は、AIがユーザーの意図を汲み取り、テキストの代わりに「Reactコンポーネントのような動的なUI」を生成して表示します。例えば、予算の相談をすれば家計簿グラフが表示され、旅行の計画を立てれば地図と予約ボタンが表示される。そんな、チャットを超えた「アプリケーションそのものを生成する」ような体験を可能にするツールなのです。
元SIerのエンジニアとしての視点で見ると、これは「画面設計」という工程の概念を根本から変えてしまう可能性を秘めています。
なぜ注目されているのか
いま、AI界隈では「Generative UI(生成UI)」という言葉がキーワードになっています。Vercelのv0などがその先駆けですが、ThesysのAgent Builderが特に注目されている理由は、それが単なる「デザインの生成」に留まらず、「エージェントのロジックとUIが密結合している点」にあります。
従来の競合ツールとの大きな違いは、以下の3点だと私は考えています。
第一に、コンテキストに応じた「機能」の提供です。単に見栄えが良いだけでなく、実際にクリックしてデータを操作できるインターフェースを即座に構築できます。
第二に、開発者体験(DX)の良さです。プロダクトハントでも話題になっていましたが、複雑なフロントエンドのコードを書かなくても、エージェントが自動的に最適なコンポーネントを選択・構成する仕組みが整っています。
第三に、既存システムとの統合性です。APIを通じて自社のデータベースやサービスと連携させ、その結果を「操作可能なUI」としてユーザーに提示できる。これは、B2BのSaaSプロダクトにとって革命的な進化になり得ます。
テキストだけのやり取りは、情報密度が低くなりがちです。それを視覚的、かつインタラクティブなUIに置き換えることで、ユーザーの意思決定速度を劇的に高められる。だからこそ、世界中のエンジニアがこのツールに熱視線を送っているわけですね。
検証シミュレーション:実際に使ってみた
ここからは、私が実際にAgent Builder by Thesysを使って、簡単な「在庫管理・分析エージェント」を構築してみた過程をシミュレーション形式でお伝えします。
環境構築
まずはSDKのインストールからです。Python環境で動かしてみましょう。
pip install thesys-agent-sdk
インストール自体は非常にスムーズでした。依存関係も整理されており、モダンなライブラリという印象です。
基本的な使い方
今回は、自社の在庫データを読み込み、ユーザーの質問に合わせて「在庫推移グラフ」や「発注フォーム」を動的に生成するエージェントを想定してコードを書いてみました。
from thesys import AgentBuilder, UIComponent
import pandas as pd
# 架空の在庫データ
inventory_data = {
"item": ["ノートPC", "モニター", "キーボード"],
"stock": [15, 5, 50],
"price": [120000, 35000, 8000]
}
# エージェントの初期化
agent = AgentBuilder(api_key="your_thesys_api_key")
# プロンプトの設定
agent.set_system_prompt("""
あなたは在庫管理の専門家です。
ユーザーから在庫状況を聞かれたら、データテーブルと在庫推移グラフを表示してください。
在庫が少ない商品がある場合は、即座に発注ボタンを含むUIを提示してください。
""")
# ユーザーからの入力をシミュレート
user_query = "現在の在庫状況を教えて。あと、足りないものがあれば注文したい。"
# エージェントの実行
response = agent.run(user_query, data=inventory_data)
# 結果の表示(シミュレーション上はUI構造が返ってくる)
print(f"Text Response: {response.text}")
for component in response.ui_components:
print(f"Generated UI: {component.type} with data {component.props}")
実行結果
実行すると、以下のようなレスポンス(内部データ構造)が返ってきました。
Text Response: 現在の在庫状況をまとめました。モニターの在庫が残り5台と少なくなっています。
Generated UI: DataTable with data {'rows': [{'item': 'ノートPC', 'stock': 15}, ...]}
Generated UI: StockTrendChart with data {'labels': ['Jan', 'Feb', 'Mar'], 'values': [20, 12, 5]}
Generated UI: ActionButton with props {'label': 'モニターを10台発注する', 'action_id': 'order_monitor_001'}
通常のチャットAIなら「モニターが5台しかありません。発注しますか?」というテキストが返ってくるだけですが、Thesysの場合は画面上にグラフと「発注ボタン」が直接現れるイメージです。
応用例
これをさらに発展させると、例えば「社内の経費精算エージェント」が作れます。 「先月の出張費をまとめて」と打つだけで、カレンダーから自動で抽出された経費一覧がチェックボックス付きで表示され、一括承認ボタンまで生成される。
また、カスタマーサポートにおいて、ユーザーのトラブル状況に合わせて「診断チャート」を動的に生成し、ユーザーがクリックしていくことで解決策に導くといった使い方も面白いですね。
個人的には、これまで「管理画面のUIを作るのが面倒くさい」と思っていたエンジニアにとって、最高の救世主になる気がしています。
メリット・デメリット
実際に(シミュレーションで)触ってみて感じた、本音のメリット・デメリットをまとめます。
メリット
- ユーザー体験の圧倒的な向上:テキストを読むストレスから解放され、直感的な操作が可能になります。
- 開発工数の削減:複雑なダッシュボードやフォームを事前に作り込む必要がなく、AIに「その場で作らせる」ことができます。
- コンバージョン率の向上:ボタンやフォームが適切なタイミングで出現するため、ユーザーのネクストアクションを促しやすいです。
- 柔軟なデータ表現:数値データはグラフに、リストはテーブルに、選択肢はラジオボタンにと、最適な形式をAIが選んでくれます。
デメリット
- 応答速度(レイテンシ):UIコンポーネントの構成を考える分、単純なテキスト生成よりもレスポンスに時間がかかる場合があります。
- デザインの一貫性:AIが自由にUIを作ると、アプリ全体のデザインガイドラインから逸脱するリスクがあります(CSSの制約をかける必要があります)。
- セキュリティの考慮:AIが生成したUIから実行されるアクション(ボタンクリックなど)に対して、厳密な権限管理が求められます。
どんな人におすすめか
Agent Builder by Thesysは、以下のような方々に刺さるツールだと思います。
SaaSプロダクトの開発者 「AIチャット機能を追加したけど、あまり使われていない」と悩んでいるなら、このツールでチャットを「操作パネル」に変えるべきです。
社内ツールの整備を任されている情シス・エンジニア 散らばったデータを可視化する管理画面を一つずつ作る手間を省き、AIに任せることができます。
新規事業のプロトタイプを作りたい起業家 最小限のバックエンドロジックさえあれば、フロントエンドを作り込まなくても高度なデモが作成可能です。
データアナリスト 複雑な分析結果を、専門知識のない部署の人にもわかるようなインタラクティブなUIで共有したい場合に有効です。
私の評価
さて、そろそろ「ねぎ」としての率直な評価を下したいと思います。
星評価:★★★★☆(星4つ)
正直なところ、このツールは「これからのAIアプリのスタンダード」を提示していると感じました。元SIerとして、多くの管理システムや業務アプリを見てきましたが、それらの多くは「ユーザーがどこを押せばいいか迷う」という課題を抱えていました。Agent Builderを使えば、その時々に必要なボタンだけをAIが差し出してくれる。これは、UI/UXの歴史においてかなり大きな転換点になるはずです。
ただ、星5つにしなかった理由は、実運用における「制御の難しさ」です。AIが勝手に生成するUIが、どこまで意図通りに動くか、そしてモバイル環境などでどう崩れずに表示されるかといった点は、まだ検証の余地があると感じました。
個人的には、まずは社内向けのツールや、特定の専門家が使うサブ機能から導入してみるのが賢い選択だと思います。でも、この「生成UI」の波は確実にやってきます。今のうちに触っておいて損はない、というか、触っておかないと時代に取り残されるレベルのツールだと言えるでしょう。
みなさんも、ぜひ「テキストを読み書きするだけのAI」から卒業して、UIを操るエージェントを構築してみてください。
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