3行要約

  • MetaのチーフAIサイエンティスト、ヤン・ルカン氏が退社し、新会社「AMI Labs」を設立しました。
  • 現在の主流であるLLM(大規模言語モデル)の限界を突破するため、「世界モデル」による自律型AIの開発を目指します。
  • テキストの統計的な予測ではなく、現実世界の因果関係や物理法則を理解するAIの実現が大きな目標です。

何が発表されたのか

AI界の巨頭の一人であり、Meta(旧Facebook)のAI研究を長年牽引してきたヤン・ルカン氏が、自らスタートアップ「AMI Labs」を立ち上げたことが明らかになりました。

AMIとは「Autonomous Machine Intelligence(自律型機械知能)」の略称です。ルカン氏は以前から、現在のChatGPTなどが採用している「自己回帰型LLM(次にくる単語を予想する仕組み)」だけでは、真の知能には到達できないと主張してきました。

今回の新会社では、彼が提唱している「世界モデル(World Model)」という概念を軸に、AIを開発すると見られています。これは、人間が周囲の環境を理解し、行動の結果を予測するように、AIにも世界の仕組みを学習させるアプローチです。単なる言葉の並び替えではなく、物理的な常識や論理的な推論を根本から持たせようという試みですね。

競合との比較

項目AMI Labs(予測)ChatGPT (OpenAI)Claude (Anthropic)
基本原理世界モデル(JEPA等)自己回帰型LLM自己回帰型LLM
学習対象世界の構造・因果関係テキスト・コードの統計テキスト・憲法AI
推論能力計画に基づく自律的な思考確率的な次単語予測確率的な次単語予測
主な目標AGI(汎用人工知能)の実現高性能な対話アシスタント安全で誠実なアシスタント

業界への影響

今回のルカン氏の動きは、AI業界のトレンドを大きく変える可能性があります。

まず第一に、アーキテクチャの多様化が進むでしょう。現在は「データ量と計算資源を増やせば賢くなる」というスケーリング則が信じられていますが、ルカン氏はそれに懐疑的です。AMI Labsが効率的な「世界モデル」で高い知能を実現すれば、膨大な電力を消費する現在の開発スタイルが見直されるかもしれません。

第二に、AIエージェントの進化です。現在のAIは指示待ちの側面が強いですが、世界モデルを持つAIは、自ら目的を設定し、現実的な計画を立てて行動できるようになります。これにより、ロボティクスや自動運転、複雑な業務自動化の分野でブレイクスルーが起きる論理的な裏付けが整うことになります。

私の見解

正直なところ、ルカン氏がMetaを離れてまで自分の会社を作ったというニュースには、元エンジニアとしても非常にワクワクしています。

個人的には、いまのLLMが時々見せる「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」に限界を感じていた部分もありました。言葉のパターンだけで会話している以上、どうしても「意味」や「物理的な現実」の理解が追いつかない場面があるんですよね。

ルカン氏が長年温めてきた「JEPA(統合埋め込み予測アーキテクチャ)」などの理論が、製品としてどのような形で世に出てくるのか。これが成功すれば、私たちは本当の意味での「賢い相棒」を手にすることになるかもしれません。今後のAMI Labsの動向からは、一瞬たりとも目が離せませんね。


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