この記事で学べること

  • 長大なコンテキストを読み込ませた際に発生する「Lost in the Middle(中だるみ)」問題の回避策
  • LLMLinguaを活用した、情報の密度を維持しつつトークン数を削減する「コンテキスト圧縮」の実装
  • 無意味なトークンへの支払いを減らし、推論コストを最適化する具体的コード

前提条件

  • Python 3.9以上がインストールされていること
  • OpenAI API または Anthropic API の有効なキー(長大なコンテキストを試すなら Claude 3.5 Sonnet 等を推奨)
  • ローカル環境で圧縮モデルを動かすための最低限のVRAM(8GB程度あれば十分)

Step 1: 環境準備

まず、コンテキスト圧縮のデファクトスタンダードである「LLMLingua」と、検証用のライブラリをインストールする。最近のLLMは128kや1Mといったコンテキスト長を誇っているが、そのまま流し込むのは素人のやることだ。プロなら「情報の選別」から入る。

# LLMLinguaと関連ライブラリのインストール
pip install llmlingua openai tiktoken

また、ローカルで軽量な圧縮用モデル(Llama-3-8B等)を動かすための設定も確認しておけ。

Step 2: 基本設定

圧縮エンジンを初期化する。ここでは、情報の重要度を判定するために比較的小さなモデルを使用する。コンテキストを「捨てる」のではなく「要約」するのでもなく、「重要でないトークンを削除する」のがLLMLinguaの肝だ。

from llmlingua import PromptCompressor

# 圧縮用モデルのロード。ここでは軽量なモデルを指定する
# CPUでも動くが、GPUがあるならcudaを指定しろ
compressor = PromptCompressor(
    model_name="microsoft/llmlingua-2-bert-base-multilingual-cased-v1",
    use_auth_token=False,
    device_map="auto"
)

# 圧縮設定の例
compression_config = {
    "rate": 0.5,             # トークンを50%まで削減
    "force_tokens": ["\n", "?", "!"], # 構造を維持するために残すべきトークン
    "drop_consecutive": True # 連続する不要トークンを積極的に削除
}

Step 3: 実行と確認

膨大なドキュメント(RAGで取得した検索結果など)を圧縮し、LLMに渡すステップだ。そのまま10kトークンを投げるのと、圧縮して5kトークンにするのでは、レスポンス速度も精度も劇的に変わる。

original_context = """
(ここに数千ワードの冗長な技術文書や、大量のRAG検索結果が入ると想定してください)
...
"""

question = "このシステムにおけるデータベースのバックアップ頻度と手順を教えてください。"

# プロンプトの構築
prompt = f"Context: {original_context}\n\nQuestion: {question}"

# 圧縮の実行
compressed_prompt = compressor.compress_prompt(
    [original_context], # コンテキスト部分のみを圧縮対象にするのが定石だ
    instruction="",
    question=question,
    target_token=2000, # 目標のトークン数を指定
    rank_method="longllmlingua" # 長文に特化したアルゴリズムを使用
)

print(f"圧縮前トークン数: {compressed_prompt['origin_tokens']}")
print(f"圧縮後トークン数: {compressed_prompt['compressed_tokens']}")
print(f"圧縮されたプロンプト: \n{compressed_prompt['compressed_prompt']}")

# 最後に、この compressed_prompt['compressed_prompt'] を GPT-4o や Claude に投げる

よくあるエラーと対処法

エラー1: Out of Memory (OOM)

torch.cuda.OutOfMemoryError: CUDA out of memory.

解決策: 圧縮用モデルをさらに軽量なものに変えるか、device_map="cpu" を指定してCPUで実行しろ。圧縮自体は前処理なので、推論ほど速度を求めなくても運用は可能だ。

エラー2: 圧縮しすぎて精度が落ちる

(LLMの回答が支離滅裂になる、または「情報が見当たりません」と答える)

解決策: rate を上げすぎるな。また、condition_compare 引数を使って、質問文(Question)との関連度が高いトークンを保護する設定を見直せ。重要なキーワードが削られている可能性がある。

まとめと次のステップ

LLMのコンテキスト窓が広がったからといって、生データをそのまま流し込むのはエンジニアの怠慢だ。LLMLinguaのような技術を使い、**「LLMにとって読みやすい情報の密度」**を制御することが、実務での成功の鍵となる。

次は、RAG(検索拡張生成)のパイプラインにこの圧縮ステップを組み込み、ベクトル検索の「Top-K」をあえて大きく設定(例: Top-20)した上で、圧縮してLLMに渡す構成を試してみるといい。ノイズを削ぎ落とした真の情報の力が実感できるはずだ。



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