3行要約
- 2025年をAIバブルの踊り場と定義し、投資対象がハードウェアから「収益化ソフトウェア」へシフト。
- 2026年にはAI導入による具体的ROI(投資対効果)が株価を左右する最大の「選別基準」となる。
- インフラ投資(CAPEX)の継続性が不透明化する中、推論コストの低減とエッジAIの活用が鍵。
何が発表されたのか
東京海上アセットマネジメントは、2025年の振り返りと2026年に向けた海外株式市場の展望を公表した。その核心は、これまで市場を牽引してきた「AIへの期待感」という燃料が尽きかけ、代わって「AIによるキャッシュフローの創出」という冷徹な実力が問われるフェーズに突入したという点だ。
具体的には、NVIDIAに代表される半導体・インフラ層への投資(CAPEX)が一巡し、その巨額投資を企業がいかにして利益に変換できるか(ROI)に焦点が移る。2025年はその「証明期間」となり、結果が出る2026年には、勝ち組企業と「PoC(概念実証)止まり」で終わる企業の二極化が加速すると予測されている。これは単なる市場予測ではなく、エンジニアにとっては「使われるツール」から「稼げるシステム」への設計思想の転換を迫る警告である。
競合との比較
今回の市場予測において重要なのは、プラットフォーム側(ChatGPT, Claude等)が「汎用性」から「経済合理性」へと競う土俵を変えつつある点だ。
| 項目 | 今回の市場予測(2026年展望) | ChatGPT (OpenAI) | Claude (Anthropic) |
|---|---|---|---|
| 主眼点 | 投資回収率(ROI)と収益性 | 汎用AGIへの到達とシェア拡大 | 高い倫理観と文脈理解の精度 |
| 技術的課題 | 推論コストの劇的低減 | 学習データの枯渇と電力確保 | スケーリング則の限界突破 |
| ビジネスモデル | B2Bへの実実装とコスト削減 | サブスクリプションとAPI | エンタープライズ特化の統合 |
| 評価基準 | EPS(一株利益)への貢献 | ユーザー数とモデルのIQ | 精度と安全性(Constitutional AI) |
業界への影響
この展望が現実となれば、IT業界には「冬」ではなく「選別」という名の嵐が吹き荒れる。
- 「PoC死」の急増: 2025年中に収益化の道筋が見えないAIプロジェクトは、2026年の予算編成で容赦なく切り捨てられる。エンジニアには「技術的に面白い」ではなく「コストを何割削れるか」という視点が必須となる。
- 推論特化型ハードウェアへの需要シフト: 学習(Training)から推論(Inference)へとフェーズが移るため、巨大なH100クラスのクラスターよりも、電力効率に優れた推論チップやエッジAIデバイスの重要性が増す。
- エージェント型AIの普及: 単なるチャットボットではなく、業務プロセスを自律的に完結させる「AIエージェント」が、実益を生む主力ソリューションとして台頭する。
Negi Labの見解
東京海上アセットマネジメントの分析は、金融機関らしい「妥当な悲観論」を含んでいるが、技術的視点から言わせれば、少しばかり企業の「実装能力」を過大評価している節がある。
多くの企業が直面しているのは、AIのモデル性能不足ではなく、社内データの「汚さ」だ。2025年に期待から実績へシフトすると言うが、データのクレンジングすら終わっていない企業が、2026年にROIを叩き出せるわけがない。
これからのエンジニアが生き残る道は、最新モデルを追いかけることではない。高騰するAPIコストを抑えるためのRAG(検索拡張生成)の最適化や、ローカルLLMを実用レベルで回す「軽量化技術」を磨くことだ。2026年に笑っているのは、派手なデモを作った奴ではなく、地味な推論コストの削減に成功した奴だろう。
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